上州富岡駅舎設計競技
2011
Tomioka,Gunma

自然と歴史の共生

富岡の街は蚕から産み出される糸の恵みを受け発展してきました。やがて富岡製糸場が出来、世界へ日本の生糸は羽ばたいていったのです。歴史を振り返ってみると、「自然共生の街」それが富岡の街なのです。そこには人々が自然に対して常に正面から受け止め、養蚕業を発展させてきた過程で様々な工夫や技術を生み出してきた歴史があります。自然と共存してきた記憶を富岡の玄関口である上州富岡駅に残すと共にこれからの富岡のメッセージを伝えたい、それが私たちの提案です。

富岡の記憶

養蚕業が発展してきた歴史の中で様々な技術や工夫があります。その道具や技術の記憶を駅にデザインすることで富岡の人々に愛される駅にしようと考えました。蚕の寝床となる格子状の「まぶし」や蚕の餌である桑の葉を運ぶ竹籠や繭玉のデザインも富岡の人々には、慣れ親しんだ記憶です。

駅のパラダイムシフト(価値の再構築)

新しい価値観をもつ駅をつくりたいと考えました。自然と共存している富岡には出さなくてはいけない答えがあります。自然の力に対抗する備え。自然のエネルギーを利用する仕組み。そして自然と融合出来る駅。新しい価値観を未来に向けての自然との共存の手法を富岡駅で提案しています。

街に開く駅。鉄道に開く駅。

ときに駅舎は、街を分断する壁や裏と表をつくってしまうことがあります。そこで分断させる塊を出来る限り消去したいと考えました。どちらの領域も空気が行き来出来る、富岡駅では中間的な領域を多く提案しています。ホームからでも街の気配が伝わり、街からでも鉄道との親近感が湧く、そんな自然の空気感を大切にしたいと考えています。

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