広瀬川橋梁等設計競技
2006
Sendai

+八千代エンジニアリング

有機的土木デザイン 〜トータルコンセプト:自然、環境、人、未来をつなぐもの〜

我々の提案する有機的土木デザインとは何か。巨大な土木構造物は、周囲の環境を大きく変化させます。本計画も流れ豊かな広瀬川をわたり、市民の森(西公園)を2分する形で計画されています。その周囲に与える影響は大きく単に、橋梁、高架橋をデザインするだけでは完結しません。単なる橋の見え方だけでなく、そこへのアプローチ、公園の利用形態、人との関わりなど環境デザイン、グラウンドデザイン全般を土木デザインで何が出来るかを提案することがこの有機的土木デザインなのです。そこから新たな土木の未来が始まります。

自然と調和するデザイン
本計画は地下鉄が唯一地上に姿を現し、公園の中を走り川を渡ります。そこでは、まさに仙台の象徴である水と緑に深く関わります。自然が主役であるこの地域では、土木構造物が周囲の景観デザインを形づくるのではなくあくまでも自然景観が主役です。連続性を持ちつつ木立の中見え隠れしながらすり抜けて行くようなデザイン、そして周囲の環境と呼応する土木構造物を提案したいと考えます。

環境にやさしいデザイン
多くの人が利用する公園。そこには人間だけでなく多くの生物も多く生命を育んでいます。当然の事ながら環境に配慮したデザインが求めらます。地下鉄建設後今までの生態系を壊す事なく、より多くの生物が公園内に戻れる“場”の整備が必要だと考えます。土木構造物本体だけでなく、それを取り巻く周囲の環境配慮も含めた景観デザインが必要です。使用する材料についても、リサイクルやリユースできる製品を使用し環境の循環に配慮します。

人との関わりを生み出すデザイン
唯一の場所という事から、列車に乗って通り過ぎるとき人びとが,そこが公園であり,川を渡っているという認識が持てる事が大切です。トンネルからでて徐々に開放性が高まり,河川上でその開放感が大きくなり、心や視覚的高揚を演出します。公園ではよりヒューマンレベルでのデザインが重要になります。高架橋と人との関係、管理上の問題などトータルな要因を盛り込んだデザインが求められます。桁下空間が低く,暗い空間は人を寄せ付けません、開放感と安心感がにぎわいを生み出します。公園のグラウンドデザインや利用形態の提案と構造物のデザインは切り離す事が出来ないのです。一体的なデザイン提案によってのみその道は切り開かれます。

未来への提案
土木構造物が主役になるのではなく,その場所が持つ雰囲気であったり,その周囲の環境が主役になるのが都市型の景観デザインの主旨であると考えています。30、50年後この仙台が今の自然を維持できてこそ仙台の未来はあると考えています。土木構造物がその一翼を担うことが出来なければ意味がありません。そんな思いを込めて私たち有機的土木デザインを提案します。

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